見放すのですか

EA045_L
だが、いかに合理主義が浸透しているアメリカでさえ〃代理ママ〃による出産には「不道徳じゃないか」と非難の声が上がっているという。
なんといっても具合の悪いのは、夫婦と〃代理ママ〃がお互いに顔みしりになってしまっていることだ。
他人の精子を人工授精する場合は、医師が精子の提供者(原則として医科大学生)を夫婦に絶対に知らせないから問題は少ない。
しかし〃代理ママ〃は夫婦が応募者と面接し、住所、氏名を確認し、報酬(十カ月間のお腹の貸し賃)も話し合って決めたりしている。
これでは、あとあとトラブルを招きかねない。あとで「私の子どもに会わせて」と、代理ママが夫婦のところへ押しかける可能性もないとはいえないのだ。
それにも増して問題なのは、十カ月間、夫婦が何の感慨もなく過ごしていることだ、と私は思う。

考えてもいただきたい。胎児が少しずつ発育し、やがて胎内で足を、ハタつかせたとき、「あっ、動い!」と妊婦は蝿き、あわて、こみあげる喜びに涙ぐみ、夫の帰りを待ちかねて報告する。
こういう新鮮な感動が、赤ちゃんへの愛情の源になるのではなかろうか。「そうですわねえ」。B子さんは思い直したようにつぶやいた。
「お腹を痛めていない子どもだという意識は、きっと私自身を責めるでしょうねえ」
不妊症は遺伝するI。そう思いこんでいる人は、実に多い。
先日も、カウンセリングにきたF子さんが、頭から信じこんでいますといった深刻な表情で私にこう打ち明けた。

出典: