お腹を痛めること

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だけど、それがニュースになるのは、五人全部そろって生き残るケースはめったにない、ということにほかならない。
「第一、あなたはきちんと排卵があるじゃないですか。HMG(排卵誘発剤)なんてものはネ、排卵のない婦人、とくに重症の人の治療用にしか使用しないんですよ」
これが開発されたとき、とびついたマスコミが「不妊女性に夢の薬!」などと書きたてた。
このため、L代さんのような排卵があるのに、妊娠しない女性までが焦って使ってもらいたがるようになったといえそうだ。
この薬には、いくつかの問題点もある。どの程度の量を使えばどこまできくのか、が確定していないのだ。多く使うほど効果があるという説もあるが、反対論も少なくない。
それに、過刺激症状lつまり薬を使いつづけていても全く反応を示さないくせに、あるとき突然、それこそ爆発的に卵巣が反応する、という厄介なことになっているのである。
「そんなコワイところもあるんですかァ」lL代さんは目をみはり、首をかしげ、意外や意外といった表情になった。
現在までの統計では、排卵誘発剤を使って子どもが生まれた場合、八割までが単体(ひとり)で(このことにも意味がある)、あとの二割が多胎、つまり双子以上である。
二割しかないともいえるし、二割もあるのか!と驚くこともできる。
うまく双子が生まれてくれたらいい。だが、この薬を使ったら必ず双子という保証は、どこにもない。


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